迎賓館、レーモンドと教文館、橋63

■ ほとほと迎賓館には縁がない。抽選には毎度ハズレる、先着順の一般公開と聞き地下鉄に飛び乗れば、すでに午前11時の時点で3,000枚の整理券の配布は終了したという。それでも、お目当ての「噴水池」だけでもゆっくり観られればと思ったら、「噴水池」があるのは自由に入れる前庭ではなく整理券が必要な主庭とのこと。曾祖父が手がけた彫刻、いつになったら観ることができるのか。

 

■ 銀座の教文館ビルで、この建物の設計者であるA・レーモンドにかんする展示「日本近代建築の父アントニン・レーモンドを知っていますか〜銀座の街並み・祈り」を観る。写真と設計図でレーモンドの代表作をたどる展示内容。他には南山大学の模型、レーモンドが描いた抽象画が2点など。教文館もそうだが、戦前からキリスト教関係に強いネットワークを持っていたようで教会、キリスト教系の学校、病院が作品の中心を占めている。ぼくの生まれた東京衛生病院もレーモンドが手がけていたとはついぞ知らなかった。竣工時の教文館・聖書館ビルの簡素にしてモダン、その清潔な美しさにあらためて感心する。入場料500円、図録300円、小冊子「教文館ものがたり」50円。

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 ■ 帰りは、新橋駅から夏以来ひさびさに都バス「橋63」系統に乗車。霞ヶ関の官庁街、国会議事堂から赤坂見附、麴町を経て市ヶ谷へ、牛込から戸山が原を抜けてコリアンタウンの新大久保、大久保の先まで。下町から山の手、さらには郊外という戦前の東京の面影をなぞるように走る、乗っていて飽きのこない路線である。乗車時間は1時間弱。

そういえば、蓮沼執太の「RAW TOWN」という曲の歌詞には落語「黄金餅」の言い立てよろしく、東京駅から新宿区若松町の先に至る道のりがそのまま登場するのだけれど、途中「国会議事堂前」のバス停から歌の主人公が乗り込むのがこの「橋63」である。PVのなかでバスの車窓から市ヶ谷の濠端を眺めるシーンは、おなじ「橋63」でも逆方向、新橋駅行きから見ることのできる風景。坂を下りきると目の前に満開の桜が広がる、春になったらまた乗ってみよう。


蓮沼執太『メロディーズ』MV「RAW TOWN」