ロココ、モダン、そしてクールの誕生
■ ロココだねェ、パリっ子だってね〜 ロベール・カサドシュの弾くスカルラッティのソナタを聴きながら思わずつぶやく。クリスタルのような音の粒子。その〝ギャラントさ〟の秘密は、緩急ではなく、節度をもってコントロールされた強弱にこそある。K27のロ短調にしても、その空は鉛色ではなくあくまでも薄墨色なのだ。
■ あらゆる「モダン」は一切の鈍重さから無縁でなければならない。鈍重さは、感情の過多から生じる。そして…… 中華ソバをすすりつつ、マイルス・デイヴィスを聴いている。